天国でまた会おう ピエール・ルメートル

フランス内外でさまざまな賞を取りまくりの話題のミステリ作家ピエール・ルメートル

『その女アレックス』でこの人と出会ったときの衝撃は記憶に新しい。物語の面白さ、ハラハラドキドキな手に汗握る展開、ゾッとする雰囲気、なんとも言えない読後感。

出会いが強烈であればあるほどその後のこちらのテンションはダウンする場合が多いのだけれど、ルメートルは『死のドレスを花婿に』『悲しみのイレーヌ』と読み進むにつれ鮮烈な印象が増す。
すごいミステリ作家の登場だ!と鼻息荒く迎えた本書。

あ...舞台が...戦時中?主人公は兵士?
第二次世界大戦...。いや第一次か...。
随分今までの作品とは毛色が違う。
警部出てこないし。
(私が知らないだけでカミーユ警部シリーズは完結していた^^;)
殺人事件起こらないし。

ミステリじゃないの?と最初は戸惑ったけれどページをめくる手が止まらないこのリーダビリティはまぎれもなくルメートル

戦争で顔を失ったエドゥアールと共同生活を送るアルベール。エドゥアールの豪胆な計画。なぜか切っても切れない縁で彼らの人生に関わってくる軍隊時代の上官のプラデル。

エドゥアールの計画は成功するのか、3人の運命はどう決着するのか。ユーモア、皮肉、切なさ、色々な味わいのある面白い小説を読んだという満足感。ルメートル、ミステリ作家の枠に収まる人じゃなかった!

星4.3個。