新橋演舞場五月大歌舞伎昼の部

　最初の演目は諸事情により動揺していてあまり頭に入らなかった
ため割愛します。

　二幕目は染五郎と亀治郎の三番叟。いいですねえ！この二人に今
これを踊らせるというキャスティングが素晴らしい！パルコ歌舞伎
で一と月一緒に演って息の合っている二人です。役者さんは時代物、
世話物、踊り、それぞれ得意分野があるものですが、若手で踊りと
言えばこの二人です。二人とも繊細さと力強さを併せ持った素晴ら
しい踊り手さんです。その二人が夢の競演。力量のバランスが合っ
ていて、どちらかが押さえたりする必要がなく双方存分に元気良く
実力を出し切った良い踊りでした。二人のエネルギーをお裾分けし
て貰ってとても元気が出ました。

　三幕目は夏祭浪花鑑。始めて観ました。とても勘三郎のイメージ
が強い役ですが今回は吉右衛門が演じます。なんだか地味だなあ、
と思ってしまうのは勘三郎の演出が頭にあるからでしょうか。本来
こういう渋い演目なのかもしれません。吉右衛門は同じものを演っ
ても他の役者さんより泣かせる芝居にしがちではありますが、是非
勘三郎や幸四郎など他の役者さんが演るのを観て比べてみたいです。

　様式的な立ち回りや前と後ろと両方見せる見得など見どころが
いっぱいありました。やっぱり歌舞伎は台詞以外のこういう部分が
大事なんだよなあ。とようやく動揺も治まり、帰路につきました。