熊と踊れ アンデシュ・ルースルンド 、 ステファン・トゥンベリ

スウェーデンで実際におこった強盗事件をもとに組み立てられた小説。犯罪小説と思っていたら切ない家族の物語だった。お兄ちゃんが何度も銀行を襲ってまで欲しかったのはお金ではなく家族だったのか…。

犯人視点と警察視点交互に進むけれど犯人側に感情移入しやすく書かれているので彼らが強盗を繰り返し、逃げ切るくだりは痛快でクールな筈なのに、作中に漂う空気はとてもメランコリックで哀しい。作品では三人兄弟という設定だけど実際は企てに参加しなかった四人目の兄弟がいて、この作品は彼の証言が元になっているので「(犯罪に手を染めるわけにはいかないが、兄弟の)仲間に入りたかった」複雑な想いがこの切なさを生んでいる部分もあるのかなあ、と思った。

星4.2個。