クロノスの飛翔 中村弦

届け、この思い。 明日の日本のために―― 一羽の伝書鳩が運んできた50年前のSOS 時を越えて二人の男をつなぐ奇跡の行方は?(Amazonの内容紹介より)

面白かった。著者はファンタジーノベル大賞の気鋭だそうですが、舞台となる新聞社の描写が現実的なのでファンタジーやSFが得意でない人にも読みやすいと思います。

昔、インターネットもFAXもなかった時代、新聞社が伝書鳩を飼っていて取材先から記事を本社に飛ばすのに使っていたなんて...。知らなかった。伝書鳩を育てて訓練する人がいて、速さを競う大会があるのも知ってたけど、あくまでホビーなんだと思っていました。鳩、働いてたのか。すごいな。

読み終わって色々な人のレビューを見ていたら散見された「都合の良い展開」というキーワード。確かに10年前の私だったらそのような感想を書いてしまった気もします。でも、今回、都合良い展開上等!と思いました。だって、リアルさを追求するあまり主人公が真相に一直線にたどり着かずあっちこっち脇道にそれて本の厚さがこの1.5倍になってもしんどくないか?どのみちフィクションなんだからさくさくっと解決してしてもらって浮いた時間で別の本読めた方が良くね?と。この心境の変化、歳のせいですかね。本は厚ければ厚いほど幸せを感じた時代もあったのだけど...。

星3.7個