幻影のペルセポネ 黒田研二

 この手の設定は最近よくあるしね...。とゆるーい気分で読み
はじめました。過去にそうやってナメてかかってクロケンに足を掬
われた事が何度もあるのに、学習してません。
 ネット上に構築された電脳空間「惑星ペルセポネ」で起こった殺
人事件。なんと殺された”アキラ”を現実世界で操作している人間
も実際に殺されていた!奇妙な連鎖を見せる仮想と現実の世界。語
り手来栖は二つの世界を行き来しながら犯人探しに乗り出す。
 いつもながらクロケンは細かい!種明かし部分は一回読んだだけ
では完全には理解できませんでした。前半の伏線を結構忘れている
し。似た様なテーマなので「ペルソナ探偵」を連想した方も多いの
ではないでしょうか。ペルソナ〜のときにも「さらにひねるか!」
と驚きましたが、今回もあっちひねり、こっちひねりで満足させて
くれました。電脳空間の説明もまわりくどくならずに丁寧でネット
やパソコンに詳しくない人でも楽しめるように巧く書かれています。

 多くの人が指摘する大きな欠点もあるにはあるのですが、面白さ
と読後感の良さがその欠点を補って余りある、と思いました。クロ
ケン本の中でもかなり上位です。

 星4つ。