ラッシュライフ 伊坂幸太郎

 いくつもの物語が平行して進みます。章毎に目まぐるしく場面が
変わり、読んでいて「黒澤・・・は誰だっけ。画商?あ、泥棒か。」
「河原崎、はリストラ・・じゃなくて新興宗教だ。」みたいな事が
多々あり、自分の記憶力の低下に泣きたくなりました。もう、終盤
まで、どうやってこのいくつもの物語が収束するのか全く予想がつ
きません。途中で「あのエピソードがここに繋がるんだな」と先が
読めると嬉しかったり、かかしの話がちょこっと出て来て、「オー
デュボンの祈り」を思い出したり、という楽しみもあります。

 殺人事件があって、探偵が犯人を当てて、っていうパターンでは
なく、パズルみたいな構成を読み解く事を楽しむ物語。いろんな人
が出てくるけど、皆それぞれきちんと描かれていて厚みがあります。
「ここまで極端な話じゃなくても、こういうタイプの人って実際い
そう。」と思える。最近密室には食傷気味、という人におすすめで
す。
 
 ラッシュライフ、星4つ。
 
 先日いつもより遠くの図書館まで足をのばしたら、「葉桜の季節
に君を想うということ」がありました。遠くまで行った甲斐あり。