十月 歌舞伎座 昼の部 その一

 葛の葉
 今回海老蔵菊之助の対面ばっかりが楽しみで他の演目はノー
マークでしたが瞠目の面白さだった葛の葉。物語自体の面白さ、演
出の良さに加えて私の中では脇役のイメージが強かった魁春(襲名
したことに慣れずにどうしても未だに松江と言ってしまう)がびっ
くりする程良かったのです。早変わりが何度かあるのですが、軽妙
で、勘三郎猿之助の早変わりに観られる凄まじさがないんです。
勘、猿両人の早変わりは裏側の必死さが見えてしまって観ていて疲
れるのですが、魁春はひらり、ひらりと軽やかに早変わり、そして
お姫様と女房を瞬時に演じ分けていて、無理が見えない分物語に没
頭できました。普段脇役の時は主役を立てているのに久々の主役で
はキラリと輝ける、実力者なんだなあと思いました。魁春さん、ブ
ラボー!!