十月 歌舞伎座 夜の部 その一

仮名手本忠臣蔵 五段目、六段目」

 昼の部はクビキリでしたが、夜の部はハラキリです。密室トリッ
クこそないけれどかなり歌舞伎って物騒ですよ。何度も何度も見て
いる仮名手本忠臣蔵。飽きません。これはいつ観ても面白い。

 ハラキリ勘平は仁佐衛門。勘平って物語の中盤では主役っちゃ主
役なんですが、あまり格好良くないんです。そもそも判官の大事な
最期だっちゅーに逢い引きしてたし、自分は早トチリでハラキリだ
し。「泣き」だけではなくその「んもーーー」っていうもどかしさ
が他の人の勘平よりも出ていて面白かったです。

 菊之助のお軽はもはや余裕ですね。安心して観ていられる。お軽
は腰元から女房になってその後遊女になりますが腰元時代や遊女に
なってからのような華やかさや動きがない分この場は演じる側とし
ては難しいのではないでしょうか。

 海老蔵の定九郎も成長しています!凄みに加えて悪の色気がパ
ワーアップ。このちょっとした場面をここまで練り上げるところが
歌舞伎の凄さです。着物の黒と肌の白のツートンカラーの中にポタ
リと落ちる血の赤。舞台がそのまんま浮世絵?って程の絶妙なビ
ジュアルの中に美しい海老蔵がカチリと嵌る。最高です。歌舞伎美、
堪能~。

 仮名手本忠臣蔵に関して詳しく面白く解説しているサイトがあり
ます。興味がある方は是非どうぞ。
文化デジタルライブラリー仮名手本忠臣蔵