十一月 新橋演舞場 昼の部 その三

「弁天娘女男白波」
 昼の部締めはお楽しみ、弁天小僧です。

 お家芸だし、この芝居は代々の尾上菊之助のためにあると言って
も過言ではありません。成田屋助六と同じですね。弁天小僧は菊
之助であり、菊之助こそが弁天小僧なのです。数年前までは初々し
く可愛らしかった菊之助の弁天。随分大人っぽくなったなあ、と思
いました。少年の役ですから若々しくていいんだ、と思っていまし
たが今回、一本調子でなく表情豊かでとっても魅力が増しました。
大人になった菊之助が演じる弁天小僧、いいじゃな〜い。

 播磨ではいまいち良さを出し切れなかった松緑ですが南郷はイイ
です。この人はこういう軽めの役が似合うんだよなあ。尻端折りし
て「てやんでえ」系の。浜松屋では團蔵さんの鳶頭がまたいなせで
素敵!格好良い!すっごく舞台がしまります。

 勢揃いでは驚いたことに、左團次男女蔵さん、配役の前知識が
なかったら見分けがつきません!いつの間に男女蔵さん、こんな貫
禄が...!?じきに髭の意休も演れてしまいそうです。松也たんの赤星
は私は二度目。前に見たのは確か三越歌舞伎。儚げな魅力が存分に
発揮されます。やっぱりこの演目は美しくて面白くて最高だな〜。
大満足!!