十二月 歌舞伎座 夜の部 その一

「心霊矢口の渡」
 今年一番伸びた若手は文句無く菊之助だと思います。特別何か大
きな役で飛躍したというのではなく、今までコツコツと積み上げて
来たものが実になったという感じ。その実りある一年間の総仕上げ
に相応しい演目でした。一目惚れする初々しい可愛らしさから玉三
郎に迫る出来だったと思う妖艶な海老反り、最後は愛する人の為に
自らを犠牲とする激しさまでを大大大熱演。月初でこの出来。後半
もっとパワーアップするのでしょうか!?月末もう一回観るべきか
も!?菊之助が強烈でこの演目、他の人が印象に残りませんでした。
松也...が出てたなあ、位。

「出刃打お玉」
 池波正太郎作。面白いお話だと思うのですが、いまいち菊五郎
梅玉もキレがなかったです。もっと面白いお話の筈...と思ってしま
いました。月初めだからまだこなれてないのかな。これ、矢口の渡
とは逆の意味で月末また観るべきか!?久々に観られた亀三郎様も
冒頭一瞬で引っ込んじゃうし。物足りなかった也。菊五郎は一月の
国立劇場に期待します。