十二月 歌舞伎座 夜の部 その二

「紅葉狩」
 結構すごい話なんです。気抜いて観ているとぎゃふん!てなりま
す。

 海老蔵がトチリまくりで残念でした。前半は海老蔵の苦手ジャン
ルですよね。それにしてもちょっとひどかった。後半だいぶ盛り返
したけど...。この役は立ち役と女形の両方の素養が必要ですから難
しいのでしょうね。亀治郎が演ったらきっと良いだろうなあ。

 で、海老蔵がそんなだし、松緑もきちんとがんばってはいるのだ
けれど、という域を出ていない。松緑は持ち前の良さが最近生かさ
れていないです。大きな名跡を継いだら色々な役をやらざるを得な
いのでしょうが、やっぱりこの人は蘭平か土蜘蛛か奴がいいんです
よね。あとは世話物で菊五郎の弟分か源氏物語の頭中将。こうやっ
て列挙すると、良い役いっぱいあるじゃな〜い。これらが観たいな
あ。最近生き生きのびのびしている松緑を観ていない気がします..。

 主役が「う〜ん」という出来だった分、脇の市蔵と亀三郎のコン
ビがきっちり演じてくれて安心して観ていられるのが救いでした。
あの二人がこの幕のレベルを上げていたと思いました。まさに脇を
固めるとはこういうこと。歌舞伎界のしょこたんこと亀三郎(ブロ
グが面白いの)。この人、今しら菊一押しです!!!巧い!格好良
い!!美声!!!女形で美しい声の人はいっぱいいるけど、立ち役
には勿体ない程惚れ惚れしちゃう美しい声ときれいで聞きやすいア
クセント、イントネーション。素敵です!ほんと、久々にこってり
観られて満足です。ビバ亀三郎〜!