空白の叫び 貫井徳郎

 いやあ~、長かった~。

 面白かったです!「愚行録」よりずっと気に入りました。

 少年犯罪をテーマにしているので社会派でミステリ的な謎解きの
面白さに欠けるのでは?と思いつつ挑みましたがちゃんと「犯人当
て」の面白さがあります。加えて少年一人一人の事件を起こすに至
る背景や少年院での生活も興味深くて長いのに一気に読めました。
それぞれのキャラクタの色づけも上手くて少年達の人物像がくっき
り印象に残ります。

 少年犯罪についての問題提起や少年法に異を唱えることがテーマ
の作品は最近食傷する程ありますが、「論ずる事、意見を述べるこ
と」に寄り過ぎずに「面白い読み物」としてのグレードが高い本書
は小説として優れているなあ、と思いました。

 しっかし柏木先生のあの発想にはビックリしたな~。

 星4個。