2007年10月 名古屋御園座 吉例顔見世 昼の部 その一

毛抜


 松禄の弾正、私は好きです。現時点でまだ完成型ではないのは仕
方の無い事。何よりもこの派手な衣装や動きに松禄自身が負けない
キャラなのが良い!以前ある役者さんの弾正を観た時に「弾正とい
う強烈な役に俳優が負けてる。」という不満を持ってしまったので、
巧いけれど雰囲気が合ってない人の弾正よりも荒削りで多少の欠点
があってもニンが合ってる松禄、良いと思いました。

 あとはね~!亀三郎の民部ですよ!夜の部では赤っ面と坊さん
だったのでようやく美しくて格好良い亀様が観られました!これを
観に名古屋まで来たのよ!品があって美声で、芝居もきっちりして
る。ベテラン市蔵と対になって出て来ても見劣りしないと言ったら
褒めすぎか。

 亀寿の春風は美しく、萬次郎の登場も嬉しい。楽しめる毛抜でし
た。

色彩間苅豆 かさね


 今までどうも面白さのわからなかった「かさね」。今回始めて
「なにこれ、面白れえじゃん!!」と思いました。過去に観たかさ
ねとは何が違ったのだろう。 海老蔵菊之助の現実離れした非の
打ちどころのない美しさが作り物っぽい物語にピタリとはまったと
いうことでしょうか。

 因縁話なストーリーも面白いし、鎌のささった髑髏が流れて来た
りかさねが与右衛門に組み敷かれて二人で縦に決まる構図の美しさ
も秀逸。良く出来てるよ~!21世紀のかさねは海老菊コンビで決
まりですな~!

 その二へ続く