オチケン! 大倉崇裕

 「時そば」ってこういう話だったのか〜!

 落語の書き方が上手いです。落語初心者の私が「図書館で落語CD借りて
みようかな〜」と思ったもん。蘊蓄好きとしては、もっと落語蘊蓄的に色
んな演目が出て来ると良かったな〜、と思ったけれどMYSTERY YA!ですか
らね。この位の分量が適当なのでしょう。

 何と言っても岸と中村、両先輩のキャラが魅力的。アクシデント的に望
まない部に入らされて、っていう設定は漫画でも小説でも学園モノでは割
と良く見るのだけれど、「嫌ならやめりゃーいいじゃん。なんでこの主人
公はいつまでも文句言いながらここにいるのよ」と思うものも実際多いの
です。でも、本書は、なんかちがう、と思いながらも巻き込まれてうっか
りついて行ってしまうだけの不思議な魅力が両先輩にあるので越智君が落
研にいることに違和感を感じることなく読めました。魅力的な人物を描け
る、ということは強いなー。

 星3.6個。