もの静かな女たち 多島斗志之

 先日読んだ「少年たちのおだやかな日々」の大人の女版ですね〜。一癖
も二癖もある、ヘビィな女達の物語が次々と繰り出されて楽しめました。
一つ読み覚えのある作品があって、一瞬この本既読なのに忘れて借りた?
と思いましたが、読みかけで感想をまだ書いていない短編集と一話ダブっ
て掲載されてたよ。びっくりするなあ、もう。

 こうして何冊も多島作品を読んで来て、振り返ってみると本当にバラエ
ティに富んでいて作品の幅が広いです。舞台も外国だったり日本だったり
主人公も子供から大人まで。物語も戦争がらみ、現代日常系、海洋モノと
様々。そのどれもが常に一定レベルを越えていて、私の中では安心して読
める鉄板作家になっています。

 ところが人気の「症例A」や「黒百合」以外の初期の頃の作品は現在手
に入りにくいものも多いらしく(綾辻・有栖川復刊セレクションで復刊し
たものも有り)私の町の図書館でも保管庫に入っていて開架に並んでいな
かったりします。勿体ないなー。もっと多くの人に読んで欲しい、文庫で
過去作品がいつでも入手可能になるべき作家さんだと思います。

 星3.7個。


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