2009年11月 国立劇場 その一


 やっぱりこれは團十郎だなあ。このゆったりとしたおおらかな魅力。團
十郎から歌舞伎に馴染んだ私はこれぞ十八番のスタンダードだと思ってし
まうけれど、この味はきっと先代にも次の海老蔵にもない、当代の味なの
でしょう。團十郎の十八番を観ると日本人に生まれて良かった、と心から
思う。そこにいるだけでいい。観ていて幸せになる人。

 お目当て亀三郎は梶原でした。弟は世話物を頑張っているけれど兄は最
近こういうものものしい役が多いですね。声が綺麗な人なので朗々とした
台詞回しを聞きたいのだけれど、凄みを効かせて立ってる言葉少ない役で
残念。将来的には工藤をやる様になるのかな。役者の個性、実力としては
もっと色々合う役もありそうだけれど、家系、名前に左右される、そこが
面白いのかもしれないけれど、融通がきかないなあ、とも思う。まあ、地
味な役ばかりでも見続けていく所存だけれど。

 続く