晩鐘 乃南アサ

 重かったー。テーマも本自体の重量も。そして長かったー。

 「風紋」の続編です。風紋は母親を殺された女子高生のお話ですが、
本書ではその女子高生が社会人になっています。被害者一家と加害者
一家のその後です。

 ミステリは事件が起きて犯人がわかって終わる、というパターンが
多いのですが、事件の関係者の家族はそこから人生が変化して行くの
ですね。その先のドラマ。事件は解決してもまだ終わったわけではな
い、という。

 被害者一家が、風紋の時と印象が随分違います。これが事件が一家
にもたらした変化なのでしょうか。香織さんの周囲でだけこんなに事
件が起こるかなあ、と一瞬思うのですがそんなことにひっかかってい
る間がないです。ぐいぐい読めてしまう。

 事件から目を背けて忘れようとする人がいて、逆にこだわってしま
う人もいて。どっちの気持ちもわかる様な気がする。読んでいて痛い、
というか辛いお話でした。長くて重いけど、風紋を読んだ人は必読。

 星4つ。