記号を喰う魔女 浦賀和宏

　いつも図書館に誰にも借りられずあったんです。私もなかなか手
が出せませんでした。だって表紙はガイコツだし、「カニバリズム」
とか書いてあるし。さすがに引くよ。浦賀読みであっても。

　やっぱり気持ち悪いです、それなりに。テーマがテーマだし。で
も浦賀和宏的世界観が炸裂していて良い意味でハジケていると思い
ました。安藤シリーズ、奥が深い。やはりこれは図書館読みではな
く手元においてあちこちひっくり返しながら読まなきゃ駄目かなあ。

　浦賀作品は各作品が繋がってはいるものの一冊一冊で完結してお
り単独でも楽しめるつくりになってはいますが、単独で読んだだけ
では微妙にモヤっとしたものが残る。そのモヤモヤの残し具合とか、
各作品の連鎖が複雑に錯綜しているところなど、全体通した構成が
巧い。浦賀さん、相当な策士です。この面白さが解る前に浦賀道か
ら脱落していってしまう人が多数いると思われます。私はようやく
安藤シリーズの面白さがわかってきました。（つい最近まで純菜シ
リーズの方が面白い、などと罰当たりな事を考えていた。）

　くれぐれもこれから浦賀にチャレンジする人は本作以外から読ま
れますよう．．．。

　単独評価では星1.5がいいとこですかねえ．．．。他の作品の下
地がなければ相当きついです。

彼女は存在しない
時の鳥籠
記憶の果て
松浦純菜の静かな世界
火事と密室と、雨男のものがたり
ファントムの夜明け