とらわれびと 浦賀和宏

 浦賀強化月間です。とらわれびと。
 連続殺人事件。腹を切り裂かれる被害者達。被害者の姉、亜紀子
は友人とともに究明に乗りだすが、事件は「妊娠」した男が失踪す
る、という奇妙な事件に繋がってゆく...。
 もうこのシリーズ、こんがらがっちゃって何が何やら。今回は安
藤直樹、大学生です。間接的にしか出て来ませんが、「記憶の果て」
の安藤君とちょっとイメージ違うなあ。金田君も、こんなでしたっ
け?登場人物が多くて混乱しました。安藤、飯島、金田それぞれが
親子で出て来るので名前を見ても「これは子だっけ?親の方だっけ」
と。

 多少のグロあり、壊れた登場人物有り、ちょっとした構成のヒネ
リあり、以外な展開もあり、で浦賀的なバランスがとれた作品でし
た。浦賀和宏ってこういうのを書く人だよ、というたとえに使えそ
うな。ミステリとしての一定の基準も満たしています。バランスが
取れてる分、壊れ加減が「記号を喰う魔女」に比べると大人しめか
な。

 浦賀氏、鬼才というべきか奇才というべきか。このシリーズはど
う帰着するのでしょうか。「透明人間」が最新刊のようですが、完
結してるんですか?まだ続くのかな?

 星3つ。