ドミノ 恩田陸

 私には三冊目となる恩田陸です。前二冊から、恩田陸は幻想的な
物語を書く人、というイメージを持ちました。そのイメージを良い
意味で裏切ってくれます。本書は、一言で表すならスラプスティッ
ク・コメディでしょうか。
 東京駅の周囲で起こるいくつもの出来事。登場人物は生保のOL
だったり元警察官だったり子役だったり学生だったり。関係ない様
に思えたそれらの人々が次第に近付いて行き、東京駅は思いも寄ら
ぬ大事件へ巻き込まれて行きます。
 いくつもの物語が渦を巻いて交錯することも面白いし、それぞれ
のエピソードもそれだけで短編になりそうな水準。意外なところに
伏線やトリックがあります。直接筋には関係ないところでちょっと
した引っ掛けがあったり、サービス満点で楽しめました。

 東京駅の地理に明るい人は更に楽しめることでしょう。実は私、
産まれも育ちも東京ですが東京駅が全然分からないんです。どこそ
こが封鎖されてて通れない、といわれても全くピンと来ない。それ
でも充分楽しめましたけどね〜。

 星3.8個。