倒錯の帰結[首吊り島/監禁者] 折原一

 昨日の総括で今年の記事は終わると見せかけて、終わりません。
今年最後のミステリ評です。

 本が面白いつくりになっています。ひっくり返して前後どっちか
らも読める。そしてまん中に袋とじの解決遍がついています。

 物語自体は面白かったです。巧く出来てるし。でもこの不思議な
作り、必要だったでしょうか?この作りに対する説明とただし書き
があるせいで、二つの物語が繋がるんだな、というのが周知事項と
なってしまいます。もし普通に中編二つならべて最後に解決遍をつ
けておけば、「あれ?二つの物語繋がるんだ!」という驚きが一つ
プラスされた様に思います。

 「どちらから読んでも」と自由な読み方をどうぞ的な事も書いて
ありますが、そういうただし書きを添える事が逆に本書の読み方を
狭めていると思いました。ただ何の前置きもなく二つの物語を並べ
た方が、繋げて読むもよし、ひとつひとつを単独で楽しむも良し、
自由な読み方が出来たと思います。なんか、余計な事しちゃったな
あ。という感じ。

 袋とじ部分も若干の蛇足感が漂ってます。親切っちゃー親切なん
ですが、ない方がすっきり終わった気もする。私はシリーズのうち
これしか読んでないけど、他のも読んでいる人には必要な解決遍な
のかな?きっとそうなのでしょう。前の作品の伏線について書いて
あったりするのだろうな。気になるので他のも読みたいと思います。

 物語自体は面白かったので星3つ。最後のアレにもウケタしね。
それでは皆様よいお年を!!  しら菊でした〜。