浅草歌舞伎 第二部 その2

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 第二部二つ目の演目は蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみは
り)。な、なんと亀治郎六変化です。短い時間での六変化なのでそ
うとうあちこちから出入りするんだろうな、と注意して観ていまし
たが、後見さんが蜘蛛の糸を手際良く回収するのに気を取られた隙
に亀さん舞台から消えてました。お見事。

 その早変わりの面白さだけではなく、一つ一つの役がまた素晴ら
しい。童も薬売りも傾城も皆魅力的です。立役女形両方出来る役者
さんは皆さんどちらか寄りに感じるものですが亀さんはどっちも良
いです。

 亀治郎の早変わりに猿之助丈の狐忠信を思い出した方も多いと思
います。こんな言い方は生意気ですが、亀治郎猿之助丈の芝居に
対する思想の、上っ面ではなく本質、根っこの部分をきちんと学び
取っているなあ、と思いました。上質のエンターテイメントを作り
上げようという意気込みや、派手な仕掛けの裏にあるしっかりとし
た踊りや芝居の技術に猿之助歌舞伎に通じるものを強く感じました。
亀治郎の蜘蛛絲梓弦、定番化してほしい傑作です。