暗黒館の殺人(上) 綾辻行人

 やーーーっと上が終わりました。暗黒館。長大な物語なのでどう
しても前半は登場人物(多い)や舞台の説明が多いためなかなか話
が展開せず、自分が脱落するんじゃないかと何度も思いました。状
況や人物像がつかめてきてすいすい進む様になったのは400ペー
ジを過ぎた頃でした。

 暗黒館は中村青司が建てたのではないんですね。補修、再築工事
に関わったとのことです。一族の何代かに渡る物語なので館も古い
必要があるためなのでしょう。横溝正史夢野久作風な耽美っぽい
味付けが色々されていますが、もともと綾辻さんにそういう部分を
期待していないのでちょっと微妙。

 上巻最後で語り部が物語を整理してくれています。親切設計で有
り難い。塗仏もそうですが、これだけ長いと下巻の後半にもなると
最初の頃のエピソード忘れちゃうんですよね。

 わざとらしいくらいにいろいろ張られた伏線が今後どう収束して
ゆくのか楽しみです。ところであの肉....。浦賀和宏の”記号を
喰う魔女”など思い出しあらぬ想像をしています。