ダリの繭 有栖川有栖

 宝飾会社の社長が愛用のリラクゼーション設備、フロートカプセ
ルの中で死んでいるのが発見された。死体からは彼のトレードマー
クだった「ダリ髭」がなくなってており...。
 なぜか昭和初期を舞台にした館ものだと勝手に思い込んでいまし
たが、普通に現代ものでした。何と勘違いしてたんだろ?

 良いですね〜。意地悪な騙しがなくて。丁寧に読み込んで謎を解
きほぐして行けば真相にたどり着けそうなんだけど実際たどり着け
ない、という難易度も絶妙。ラストも美しいまとまりかたです。長
さも程よい。このくらいのものを読みたいんだよなあ。というかゆ
いところに手が届いた作品でした。

 星3.5個。