「毛抜」「籠釣瓶花街酔醒」

 来週歌舞伎座昼の部を観に行くので歌舞伎観劇記を書こうと思っ
たのですが、それならその前に先月観た四月夜の部の感想も、とい
うことでちょっと前の話になりますが興味の有る方はおつきあい下
さい。
 
 歌舞伎を見始めてはや六年。今まで團菊系中心に観てきたのでど
ちらかと言えば團十郎の「毛抜」目当てでチケットを取りました。
「毛抜」は予想通りに團十郎の魅力炸裂、当たり役だしお家芸だし。
おまけに團十郎歌舞伎座に帰ってきた!祝復活!と、ファンには
感慨深い一幕でした。
 
 しかし驚いたのは「籠釣瓶花街酔醒」です。兎に角玉三郎の美し
いこと!勘三郎が演ずる次郎左衛門が夢中になってしまうのも納得。
あの目で見つめられたら女だってコロっといっちゃいそうです。花
道での微笑み。これは是非とも一階席で観たかった。
 
 そして勘三郎は芝居が本当に巧い!真面目な商人が花魁に惚れて
遊郭に通い詰め、花魁から愛想尽かしをされて精神的に追いつめら
れて行く様子がなんとも切なくとても見応えがありました。私は菊
五郎が演ずる直侍が大好きなのですがそれと同じくらい勘三郎の次
郎左衛門は当たり役だと思いました。
 
 隈取りして見得を切るのも歌舞伎なら、こういう「芝居」も歌舞
伎だなあ。久々に「いいモノ観たよー。」としみじみ満足の一夜で
した。