あすなろの詩 鯨統一郎

 あら、珍しい。普通ですよ。普通。鯨統一郎はいつも変わった作
品を書く人なので普通だとその作品は「鯨的には異色?」と感じて
しまいます。

 「平和の章」と「殺戮の章」に分かれていて、こういう場合大抵
は平和の章が動きがなくてかったるいものですが、鯨氏はさすがの
リーダビリティで平和の章もぐいぐい読めます。トリックも犯人も、
まあ妥当。これしかありえない、という点でおおまかな結末は読め
てしまいますが、ここでもやはりさすがのリーダビリティで失速す
ることなく最後まで読ませます。

 星3つ。