マッチポイント

 努力だけじゃどうにもならない事ってたくさんありますよね。そ
れが「運」。運に翻弄されテニスプレイヤーからエリートビジネス
マンへと人生を方向転換せざるを得なくなる主人公。

 大笑いする、とか感動して超涙涙!とか一大スペクタクルとか、
何度も観たい心に残る映画。そういう仰々しいのではなくて、洒落
た風景、会話、上品な音楽を楽しめる。クスリと笑えるユーモアが
あって、軽く苦笑い出来る程度の皮肉がある。そんな映画が私は大
好きです。音楽も映画も文学も「クールで洒落た軽さ」が大好きな
んです。

 そういうツボをいつもがっつり押さえて来るウディ・アレン。今
回も大満足させてくれました。デキる奴かと思いきや、結構おバカ
で笑える一人の男。ヒステリックに子供を欲しがる妻とだんだん壊
れてゆく愛人という恐い恐い二人の女。そのトライアングル人間模
様を演ずる三人がピッタリのキャスティングで楽しませてくれます。
妻がお金持ちの父親の援助でギャラリーを開くのだけどその絵の趣
味の悪さは爆笑もの。そういう本筋と関係ない部分のスパイスが効
いています。定期的に流れるオペラが象徴的で何か意味が隠されて
いそうですが、詳しくないのでそこまで解りませんでした。

 星4つ。