クリスマス・テロル 佐藤友哉

 講談社ノベルス20周年記念企画として4年前に続々出された袋
とじ密室本シリーズ。西尾作品が超有名作品と同じトリックだと
思ったらこれもまた超超有名作品と同じトリック。密室本シリー
ズってそういう企画だったの?他にも何冊か読んだけど私がそれ
らの元ネタを知らなくて気付かなかっただけ?

 企画物としてはこんなもんでしょう。問題作だ!とか、佐藤の
苦悩が、とか文字どおりに読ませて、しめしめ、バカな読者が騒
いでいるぞ、とほくそ笑みたかったのか、もしくはユヤタンがほ
くそ笑んでるところまで含めての物語としてトリックを見破らせ
るつもりだったのか...。

 前者だとすればこしゃくなことをしおって、と言う感じ。後者
だとすればいまいち書ききれてない気もする。(ページ不足か)
ていうかそれがそもそも考え過ぎで本当に文字どおりこれ、「佐
藤の苦悩」なのか!?だったら若気の至り?なんだかよくわかん
なくなってきました。わからなくさせるのが主旨なら成功ってこ
とで。

 タイトルもいいし海岸にクリスマスのオーナメントが流れ着く
情景も印象的。岬や尚人それぞれの物語もなかなか良くて勿体な
いです。これらのモチーフ、ペラい企画本なんかで使わずに長篇
用にとっておけばよかったのに...。
 
 星、3つ位つけときましょう。甘いか?季節ものだしね。オマ
ケ点含めて。表紙のイラスト良いです。タイトルやバーコードの
入っていない状態で見たいです。