恭子にも九野にも入れ込んで一緒になってハラハラ、イライラ、
ドキドキしてしまいました。二段組で厚いけどその長さが気になり
ません。
夫が何を隠しているのかという疑惑、警察と企業と
暴力団のそれ
ぞれの思惑、九野という一人の刑事の物語。別々の小説にしても良
かった位の盛り沢山さなのにどのエピソードもしっかり考えられて
いて散漫な印象は全くありません。
恭子があのような行動に出てしまう結末、あのテの結末は他の作
家さんでも思いつくと思うけれど、そこに至るまでの過程をここま
で丹念に描いて決してアレを突飛な行動とは感じさせないのが奥田
英朗の凄い所。
星4.2個。