廃用身 久坂部羊

 あまりにも一気に読むのがきつくて、間に5冊位他の本をはさみ
ながらちょっとずつ読みました。

 小説らしくない体裁で始まり、リアルな介護の現場の描写に何度
か実話なのでは?という錯覚に陥りました。でも中盤からものすご
い勢いで話が転がり始めるに至ってようやく、これがフィクション
であることに確信が持てました。こんな、こんなん、実話だったら
たいへんだよ。えらいこっちゃ。

 過激なのですよ。テーマが。でも、鋭いところを突いて来るんで
す。過激ではあるけど至極もっともな発想であり解決法であるとも
思う。あまりの過激さに「いや、その解決の仕方は駄目でしょう!」
と思うものの駄目だと思う自分の論拠が弱い...。背骨の芯をがりが
りひっかかれて心がざわざわするような、決して自分はこういう
「ざわざわ」を小説には求めていないんだけどな~、という嫌な感
じ。でも読んじゃうんですけどねー。

 星3個。