弁天娘女男白波

イメージ 1今日は観劇記ではありません。大好きな演目「弁天娘女男白波」についてのお話です。
物語自体はこの前後もあるのですが、通常「浜松屋店先の場」と「稲瀬川勢揃いの場」の二場だけがセットで上演される事が多いです。はじめて観たのが菊之助の弁天小僧で、あまりの面白さと、可憐さ、格好良さにその後しばらくは「この役は菊之助のために有る!菊之助以外の役者の弁天は観ない!」と息巻いておりましたが、その後あっさり七之助亀治郎バージョンを観てしまいました。結論として、家毎に微妙に解釈というか、型が違ってどれも良かったのですが、初心者にはやっぱり基本形の音羽屋型、菊五郎菊之助バージョンをお勧めします。その後他の人のを観て比べるのが良いかと思います。

松屋店先の場
見どころはやはり弁天が正体を表すシーン。可憐なお嬢様のふりをしていた盗人弁天小僧が一瞬にして開き直って悪態をつきます。歌舞伎はまず、舞台が美しいんですね。人の配置も絵的に計算されてて、よくブロマイドになる名シーンの数秒、数分前とか後もちゃんと美しい。弁天が黒い着物を片肌脱ぐと緋縮緬の襦袢と入れ墨があらわになる。その配色の見事さ。格好はお嬢様なのにあぐらをかいてたばこを吸う、構図の面白さ。そして小気味良い七五調の名台詞。完成された世界は何度観ても楽しめます。

稲瀬川勢揃いの場
弁天小僧とその仲間が5人で花道に並んで名乗りを上げます。柄が微妙にそれぞれ違う紫の着物を着た役者が5人花道に並ぶのは圧巻。普段三階席専門の私ですが、さすがにこれは一階席での観劇をお勧めします。テンポの良い渡り台詞と共に、華やかな本舞台での立ち回りを堪能して下さい。私はこの演目を観る度に「歌舞伎ファンで良かった~♪」と幸せな気分になります。