少女七竈と七人の可愛そうな大人 桜庭一樹

 なんと鮮やかでキレのある書き出しでしょう!

 冒頭の一文でこの作品の成功は半分決まったと思いました。少女
七竈も、母優奈も雪風も時々イラっとするような不思議ちゃんで、
ともすると小説世界がキャラクタに引っぱられて流されてしまいそ
うな程に強烈なのですが、この小説は彼らに引きずられないでき
ちんと立っています。

 中盤、なんだろうなあ、この人達は...。このままダラダラっと終
わるのか、と思いながら読んでいたのにこれまたびっくりする程の
あざやかな収束のさせ方。終わってみれば鮮烈で儚く美しい青春小
説であり、恋愛小説でありました。

 星3.9個。