なんと鮮やかでキレのある書き出しでしょう!
冒頭の一文でこの作品の成功は半分決まったと思いました。少女
七竈も、母優奈も
雪風も時々イラっとするような不思議ちゃんで、
ともすると小説世界がキャ
ラクタに引っぱられて流されてしまいそ
うな程に強烈なのですが、この小説は彼らに引きずられないでき
ちんと立っています。
中盤、なんだろうなあ、この人達は...。このままダラダラっと終
わるのか、と思いながら読んでいたのにこれまたびっくりする程の
あざやかな収束のさせ方。終わってみれば鮮烈で儚く美しい青春小
説であり、恋愛小説でありました。
星3.9個。