チョコレートコスモス 恩田陸

 昨年末に読んだ「エンドゲーム」と「ネクロポリス」ですっかり
消耗してしまい、暫く恩田陸はいいや。と思う気持ちと他の恩田作
品で口直しをしたい、でもここでまたはずしたら立ち直れない...。
という気持ちがせめぎあっていたところ、新年早々ゆきあやさんが
恩田作品で高得点を出してる。口直しにコレいっとこか。

 演劇がテーマで「ガラスの仮面」に似ている、との評判。オマー
ジュといえば聞こえはいいが、終盤のあの「影」の課題はそっくり
すぎて、オマージュ越えてパク...、という感想が出てしまう。

 恩田作品はその作品世界と読者の距離感が特徴的で読まれ方に左
右されずに凛と立ってる印象があります。その距離感が、本書のよ
うに巧くいけば読後に余韻を残す良作となるのですが、もう半歩離
れてしまうと「エンドゲーム」のように読者おいてけぼりになって
しまうんだなー。恩田さんが目指してる立ち位置は同じなのだろう
けれど、ちょっとしたさじ加減なのでしょう。

 本書はもう半歩読者側に寄っても良かった気もするが、まずまず
成功している距離感と「演じる」ということへの解釈の面白さ、響
子という女優への興味で厚いのにあっと言う間に読めちゃいました。
一人の登場人物でありながらひとつの概念的存在として飛鳥を描い
たことも良かったと思います。

 星3.8個。

 ちなみにガラかめ全巻所持のワタクシより一つ言わせて頂きたい。
いいかげんもう、紅天女も結論出していいんじゃねえの?待ちくた
びれてファンもダレて来てるよ。美内さん...。