バスジャック 三崎亜記

 「となり町戦争」よりずっと良い。となり〜も短編は無理でも中編
位に纏めれば良かったのかも..。と思ってしまった三崎亜記の短編集。

 「二階扉をつけて下さい」にはぶっとびました。こういうのも書け
る人だったのかー。この不条理ブラック系が超好み。表題作の「バス
ジャック」は今風でテンポも良く、少しユーモラスな味わいで面白い
し、「動物園」の奇想も上滑りしておらずいいところに落ちてる。ス
ケッチすることで対象への解釈が生じる、というエピソードにそうそ
う。絵を描くってそういうことなのよね、とうなずく。

 バラエティ豊かな個々の物語を楽しませて、ラストにこれを持って
来たのがまた憎い。叙情的で余韻を残す一冊となりました。じんわり。

 星4個。