2008年 1月 歌舞伎座 夜の部 その二

 いつも記事は短くまとめる様に注意してるのですが、今日は長い
です。どーしても助六感想はタイトに語ることが出来ません。一番
好きな演目は何か、と聞かれたら成田屋助六って答えると思いま
す。とても思い入れの強い演目なのです。

?H3>助六

 幕が開くと舞台は艶やかな吉原。どっぷり江戸情緒に浸りきりた
いので久々に一階席での観劇。段四郎の口上で河東節連中が紹介さ
れたあたりで既にテンションが高まりすぎて胸がはちきれそうでし
た。

 福助さんの揚巻は序盤可愛気がなくふてぶてしい印象。そのぶん
後半助六と満江とのシーンでのしおらしさが際立ちます。恋人の助
六さんは知らない女の二面性ってやつですね...。コワ〜。

 焦らされてようやく助六登場。團十郎助六が二度の闘病をのり
越えて歌舞伎座に帰って着てくれました。成田屋ファンとしてこれ
以上の幸せはありません。

 團パパの存在自体が助六なので多少声が枯れてても、團様声の調
子悪いなあ、じゃなくって助六さん風邪かしら、と思ってしまう。
全てのポーズが、台詞のひとつひとつが、説明不要の格好良さでこ
こに今居合わせたことの幸せを噛み締めました。

 福山のかつぎが錦之助、っていうのは良い配役だなあ。錦之助
色白でつるりとしたイメージだったので。台詞のキレも良くってと
ても江戸っ子らしい気っ風の良い芝居が楽しめました。

 白酒売の梅玉もさすがの良さ。はんなり、おっとりと素敵な助六
のお兄ちゃんでした。

 一番気掛かりだった通人。あまりに松助の印象が強すぎて、這い
つくばって助六の股をくぐってギャグを言っても品のある江戸の遊
び人を、松助以外の誰が?と心配でした。果たして東蔵の通人も良
かったです。この難しい役、次の世代では誰がやるのでしょうね?
松助子息の松也たんはちょっとイメージ違うしね。意休を誰が継ぐ
のかも気になります。やっぱり男女蔵がやるんだろうけど、亀三郎
や松禄でも観てみたいなー。歌舞伎の楽しみは一生モノです。

 大満足の成田屋助六。美味しいお酒でも飲みながらお正月のNHK
の中継の録画ビデオを見て余韻を楽しむとしましょうか。