映画 魍魎の匣

 原作があまりにも好きすぎて、ミステリブログ開始から三年経と
うとしているのに未だ感想を纏めきれず記事にしてない「魍魎の匣
が映画になりました。期待と心配を胸に、いざ鑑賞。

 関口君がエラそうで、京極堂が一段降りて来て、あの二人を同じ
レベルにしたのが監督さんの解釈なのでしょうが、やっぱりキッペ
イ関口には違和感が。どちらかといえばキッペイは私の中では久保
のイメージでした。阿部ちゃん榎木津も宮迫木場修も原作と全然イ
メージは違うものの出来が良いので原作の彼らとは別の存在として
すんなり受け入れられたのですが、キッペイ関口はその域に達して
いないので違和感ばかりが残ってしまう...。

 でも、不満はそこだけ。普段わざとらしく感じていた黒木瞳の芝
居もはまってたし少女二人もサラッとしてて良かった。クドカン
保も巧い。個人的には火野玉男時代から密かに応援している堀部の
青木の出番が多いのも嬉しいし、マギー鳥口もさすがの良いキャラ
に仕上がってます。田中麗奈の敦子も前作より良い。これは、監督
の違いとかじゃなくって田中麗奈の成長かな?もちろん、大好き阿
部ちゃんの強烈存在感も健在!榎木津サイコー!阿部ちゃんサイ
コー!

 美作研究所も中はちょっと違ったけれど外観はイメージ通り。美
術さんがんばったなあ~!

 ラストが随分騒々しい印象で驚きましたが、原作では文庫で千
ページを超える分量かけてとりついた魍魎を終盤一気に落とすカタ
ルシスがあるので、映画がそれに対抗するにはああいう画的に派手
なドンガラガッシャンにするしかないのだと思います。

 全般的に姑獲鳥の映画版より良く出来ていると思いました。原作
に忠実にやろうとして単なる駆け足ダイジェストになってしまうよ
りも、一旦原作をばらして切り捨てる所は潔く切り捨てて再構築し
たことで映画として良いものになったと思います。