孤独のグルメ 原作 久住昌之 画 谷口ジロー

 某大作に取り組み中のため読了物がなく読書感想文が書けない..。
ので、久々に漫画のお話でも。

 グルメ漫画が好きです。「美味しんぼ」も「クッキングパパ」も
「翔太の寿司」も、「酒のほそ道」も、美味しそうな料理が描かれて
いる漫画は何でも読みます。

 数多有るグルメ漫画のなかで私が推す最高傑作の一つがこちら。
あのしょこたんもブログで紹介していた「孤独のグルメ」。本棚の
ベッドから手を伸ばせば届く位置に常備していて、眠れない夜によ
く手を伸ばします。もう何百回も読んでいると思います。

 本書の凄さは「凄くないところ」にあります。食を通じてゴタゴ
タを解決するわけでも、美味しいレシピを紹介するわけでも、天才
料理人が対決するわけでもない。主人公の井之頭がひたすら食べる
だけの漫画です。その食べ物も、三ツ星レストランの、とか産地で
とれたての、とかではなく、その辺の定食屋や回転寿司や、デパー
トの屋上のうどん..。ざっかけない庶民の食べ物。それらをただた
だ井之頭が食べる。下戸の井之頭が酒も飲まずひたすら食べる。そ
れだけなのに何故この作品はこれだけ私を魅了するのでしょうか。

 そこに私は生き物にとって「食」というものが持つ意味、食物を
摂取することによって得られるカタルシス、何かそういう根源的な
ものを感じるのです。谷口ジロー氏の絵も本当に見事です。エベレ
ストや明治の景色をあざやかにモノクロで表現してくれたジロー
さんが本作ではシューマイやたこ焼きやカレーの味や臭いまでも伝
えてくれます。一番続編を出して欲しい作品です。

 星5個。