チャット隠れ鬼 山口雅也

 横書き読みづら〜〜。目は左から右へ文字を追っているのに、ついいつ
ものくせで何回か手が勝手に逆にページをめくってしまいました。

 これはね〜、くろけんの「ペルセボネ」もそうでしたけれど、近場で都
合良く事件解決しすぎです。でも、おそらく主人公が浅見ばりに日本中移
動したり真相に近付けずに苦労したりして物語が長くなってしまうとテー
マがテーマなだけに読者を飽きさせずに引っ張るのが難しくなり、また長
くなることでネタも割れ易くなるから仕方ないのかもしれません。チャッ
ト引用形式このHNは誰?系ミステリの宿命かも。

 いわゆるクセのある「読みづらい山口作品」が好きな人には物足りない
構成やオチも、本作品が連載されたのが週刊アスキーであることを考えれ
ば納得。あくまでターゲットは普段活字がみっちり詰まった二段組の講談
社ノベルズを読んでいる本格ミステリ好きではなくパソコン雑誌をコンビ
ニで買うサラリーマンや学生であり、これはオマケの読み物なのだ。この
作品でミステリ的見地から不満を言うのも野暮というもの。それでもそこ
はそれ、奇才山口。「いぜべる」の会話文なんかとても考えられていて巧
くて読了後に拾い読みしてなるほど、と思いました。

 さくっと読めて(二時間かからない)なかなか楽しめた、位に〆ておき
ましょうよ。

 星3個。