容疑者Xの献身 東野圭吾

 今更特に説明の必要もないひがぴょんの直木賞受賞作。二階堂黎人氏に
よる「本格」論争も記憶に懐かしい。書店のPOPや漏れ聞こえてくる評判
で大体どんな話なのかの予測はついており、へそまがりの私は「感動」と
か「泣いた」と言われるとやたらと反抗心が旺盛になるもんで、アラ探し
する気満々で読みはじめました。

 面白かった~!丁寧に練られている~!私がつつこうと思っていたおか
しな箇所、疑問点はある二点をのぞいて湯川しゃんがキレイに潰してくれ
た。

 本書で私が一番面白かったのはトリックよりも石神、靖子、湯川の感情
の流れ。石神は勿論主役でありその気持ちこそが物語の大筋なのだが、靖
子の工藤、石神、美里の中心で揺れまくる心、湯川の罪を暴くことへの迷
い、三者の感情の錯綜っぷりがパズルの様で読みごたえがあって面白かっ
た。

 で、問題の、二階堂氏が自身の日記で書かれている「隠された真相」。
ありゃりゃ~!びっくり。いや、確かに。ちょっと強引な気もするけど、
それが正しいとすれば私が納得できなかった点がスッキリするのよね~。
理屈じゃなく感情面レベルの話だけど。

 星4個。泣き落ちが苦手なのでこの点です。最後がもっとクールに落ち
てたら4.3個。


※本格論争については書き始めたら長くなってしまったためバッサリ削り
ました。いずれ気が向いたら別記事であらためて書くかもしれません。