キッド・ピストルズの慢心 山口雅也

 このシリーズ、図書館で借りるものの入り込めず、一話も読了せずに返
却、を何度繰り返したことか。苦節何年、私にとって往年の挫折シリーズ
でしたが、「生ける屍の死」を読み切ったことで独自の世界観に免疫がつ
いたのか漸く読了できました。

 冒頭で本書がパラレルワールド内での出来事だと言われるので、もっと
あり得ない展開をするかと思いましたが案外おとなし目でした。大人しい
というか、謎解きがとっても正統派。マザーグースのシュールさとパラレ
ル英国が好相性で入り込みにくいけれど一歩踏み込んでしまえば次から次
へと読めてしまいます。

 真相に予測はついたものの、私が一番面白かったのは「執事の血」。や
はり英国といえば紅茶にスコーン、そして執事、なのであります。

 星3.4個。