2008年 5月 歌舞伎座團菊祭 昼の部 その一

義経千本桜　渡海屋・大持浦

　う・ら・み・は・ら・さ・でぇ〜〜〜！！！って魔太郎じゃありません
よ。平知盛です。海老蔵が知盛と聞いて大丈夫かいな、と心配した人は多
いはず。普段彼の父親クラスが演じている役だもの...。

　想像以上に良くやっていました。気負いが上滑りしてもいなかったし、
初役でここまでやれれば十分。ベテラン勢の知盛と比べて難点を挙げるこ
とは容易いけれど現段階では次世代の知盛がうまれたことに幸せを感じ、
海老蔵の検討に拍手を送りたい。

　期待の四天王、亀三郎不在の穴を埋めたのは一押し中村鶴亀。今月はと
ても控えめで大人しい。トンボ返りも出来る位の彼だからもっと動きのあ
る役をやらせたいなあ。兄不在でがんばったのが弟亀寿。地味ながらきっ
ちり美しく丁寧な仕事ぶりに高感度大幅アップ。男女蔵さんはだいぶスリ
ムになられ横顔がスッキリ。お兄さん格としての貫禄も充分。イマイチ冴
えない松也が残念。もう若さと美しさと早くにお父上を亡くしたことへの
同情応援モードでは間が持たなくなってきている。芝居的に次の段階へ進
む時期なのだ。ガンバレ！！

　團蔵さんの弁慶が美しい。現代っ子サイズの若手と旧世代サイズのベテ
ランが並ぶとイマイチ画的に冴えない比率になりがちだけど上背があって
スタイル良しの團蔵さんなら海老蔵と並んでも綺麗に収まる。市蔵、権十
郎ペアも良い配役。過去に退屈した経験のある渡海屋・大持浦だけど、見
どころが多くあっという間の二時間でした。葵太夫さんの浄瑠璃も堪能。

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↓↓江戸ではラマンチャ高麗屋か播磨屋が定番だけど上方ではこの方のイ
メージが強い様です。片岡仁左様の知盛。