少女には向かない職業 桜庭一樹

 桜庭さんの描く少女達は有り得なさそうなことばかりをやらかすのに、
どうしてこんなにリアルなんだろう。

 考えてみればリアルな人物像を描くのにエピソードまでも現実的で地に
足のついたものにする必要はないのである。少女という生き物のほんの一
時のもどかしさ、やるせなさ、切なさ、目の眩む様な眩しさ、そして若さ
ゆえの暴力性、向こう見ず、色んな側面が程よく誇張され活き活きと瑞々
しく描かれていてそのあまりの巧さに唸ってしまった。

 この破天荒な物語に桜庭一樹はどう決着をつけるのか、それだけが読ん
でいる間気掛かりだったけれど、あまりにもあっけなく鮮やかで、この少
女達らしい巧い幕引きにひとしきり感心。そんな桜庭ワールドに浸り、唸
るのは簡単である。

 用意するものは一冊の本と静かな環境です。

 星4個。