インシテミル 米澤穂信

 さてこれどう評価したものか...。

 冒頭めくるとババーン!と控える館の見取り図。ホノブの館モノか〜、
珍しい路線だね。と読み始めると。ヤノリュ○オウ、ヤ○リュウオウ、ヤ
リュウ○ウ...。はふう〜。嫌な予感がバリバリしましたぞ。

 件の作品より武器の事とか夜のルールとかガードの存在等練られて作り
込まれていて緻密な謎解きがとても面白かった。ロジックパズルとしては
秀逸な出来だと思う。読了後「ふ〜ん、で?」と思ってしまうのもこのテ
の物語の宿命であってホノブのせいではない。

 しかしロジックのつじつまを合わせることを重視するあまり、小説的面
白さを犠牲にしてしまうのは正直どうか。それをやると「多少論理が破綻
してはいるが面白い」小説に負けてしまうぞ〜。

 最大の難点は人物。登場人物が誰が誰やら男か女か解りづらくてその確
認作業で読む速度を削がれた。(読み終わった今も尚誰が誰だかいまいち
わかってない。)ミステリでどこまで人物を描けば良いのかというのは永
遠の命題で悩む所なのだけれど、結局「被害者が、犯人が、この中の誰で
あってもまあいいや」になってしまうと元も子もない気がしちゃうのであ
る。滞っておりまして、と言われてもなあ...。(笑)

 星3個。