サヨナラ プリントゴッコ

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 行政も教育もダメダメで不甲斐ない我が国日本が自信を持って外国に
誇れるもの。それは憲法9条、歌舞伎、そしてプリントゴッコ...。


 と本気で思っちゃう程愛して止まない画材、プリントゴッコの販売終了
にショックを隠し切れないしら菊です。

 とかく芸術活動とは場所をとるもので、画面自体を広げる場所プラス道
具、絵の具、パレット...。専用のアトリエを持たぬ庶民は制作スペースが
確保出来ず日常生活すら芸術活動に侵食されるケースも多いもの。ところ
が、プリントゴッコはあれだけ本格的なシルクスクリーンの設備があの箱
一つにおさまり、作業も新聞紙を広げた程度のスペースで事足りる。マス
ターをビニール袋にポイっと捨てれば道具を洗う必要もなく部屋だって汚
れない。狭い国土の貧しい住宅事情から生まれた日本の発明。

 戦前の印刷物を思わせる味わいあるインクの風合、位置合わせも容易で
高度な多版刷りにも耐える。他の画材が苦手とする金銀だってくっきり鮮
やか。何とも楽しく素晴らしい道具。正直プリントゴッコ博士と呼んでく
れ!と言いたい位極めました。

 パソコンの台頭で家庭用印刷機としての役目を終える事は10年も前から
明白でした。ならば何故、文具、家庭用品としてのアプローチから専門的
画材としてのアプローチに切り替えなかったのか。高いと言われた消耗品
だって文具と思えば高くとも画材と考えれば決して高くはない。もしかし
たら切り替えようとしたのかも。B5対応のプリントゴッコアーツの存在に
それが感じられる。でも、哀しいかな。理想化学工業は結局のところ理系
の会社。アートは苦手分野だったのか、なんとも中途半端な展開に終わっ
てしまった。

 本体や消耗品をいくら買いだめしたところでいずれ入手出来なくなるわ
けだし早いところシルクスクリーンなり木版画なり新たな技法にチャレン
ジしなければ。絵描きとして何らかのアナログで版画的な表現手段は持っ
ていたいものなあ。