歌舞伎巡業 東コース 鎌倉芸術館 その二

?H3>弁天娘女男白浪

 三か月連続でこの演目を観ています。澤瀉屋型は音羽屋とは違った解釈
で面白い。亀治郎弁天、悪の魅力が華やかな、力強くて凄みのある弁天。
菊之助七之助の女っぽい弁天も良いけど、こっちも良いねえ〜!

 亀鶴の南郷が出色の出来。今後この人の持ち役になるのでは。五月から
立て続けに観た三人の南郷で一番良かったです。台詞のキレが良くって程
よい男らしさがあり、これは大拍手ですね!思っていたより線も太くて家
柄的にそういう役が来るかどうかは別として、もしかしたら左團次が得意
としている髭の意休や業突く張りの大家なんかが出来るタイプの人なのか
もしれません。

 りりしい魅力の巳之助君、健闘したけどまだまだこれからという感じ。
色々な役を勉強する時期ですが、もっと元気の良い役であばれさせてあげ
て欲しいな〜。

 以下蛇足ですが...。

 色々な弁天小僧があるべきだし、今回の弁天も抜群に素晴らしいです。
でも、ふと、菊五郎劇団の方々は手代などの脇役、黒子や後見、スタッフ
に至るまで、個々ではなくチームとして浜松屋という空間を作り上げるこ
とに長けているのだな、と思いました。一人一人の役者は今回の舞台も決
して劣ってはいませんが、総合的な空間の魅力という点でこの演目に関し
音羽屋はさすがお家芸、という舞台を魅せてくれる様な気がします。

 それにしても毎月観ても全く飽きない。この演目はスゴイですね〜。