映画 20世紀少年

 これを越える面白さの漫画は当分出て来ない、と思う程入れ込んでいる
20世紀少年」がついに映画になりました!

 長い物語をかなり駆け足で、しかも時間軸が行き来するうえモノローグ
を排して表現しているので原作未読の方にはわかりにくい部分も多そうで
す。

 風景やキャストが徹底的にそっくりで、秘密基地が、地下アジトが、駄
菓子屋ジジババが(ババの配役にウケた!)、巨大ロボットが、頭の中で
思い描いていた映像そのままにリアルに描かれているのは感慨深いしゾク
ゾクします。

 一番心配していた愛しのオッチョ。おお!違和感ありません!もともと
台詞棒読み芝居の印象が強かったトヨエツ氏。(それゆえ「愛していると
言ってくれ」は良かったわけで...。)オッチョは感情の抑揚を表に出さな
いタイプの役なので思いのほかイケてる!

 他のメンバーも皆良いです。モンちゃんもマルオもヨシツネも。香川照
之氏にはこっちのヨシツネじゃなくて梨園に残って「義経千本桜」の狐忠
信を継いで欲しかったというのが歌舞伎ファンとしての本音ですが。

 でーもーねー。肝心の二人が...。orz。

 ロックスピリットをいまいち感じられないケンヂってどうなのか。ここ
はやはり俳優よりミュージシャンを起用するべきだったのでは?私の中で
ケンヂはハスキーでシャウトな声のイメージだったのでいちいちあんなに
朗々とした声で喋られる事にも違和感が。

 そしてユキジ。強がりながらもケンヂへの想いを胸に秘めた哀しい役所
なのに、単なる威丈高な女...。うう。と思って原作を読み返したら序盤の
ユキジはかなり高圧的なノリだった。彼女の内に秘めた強い想いが読者に
伝わるのはもっと後のことだったのか...。

 原作の中の私が好きだったエピソードがごっそり削られていたのは仕方
ないことだけれど哀しい。あと、今後への伏線として重要なのでは?とい
うシーンがいくつか削られていたりして、あれっ?と思う。いいのかな。

 結論として映画はとっても面白かったし、アニメ化はあるかもしれない
けれど実写化は難しいと思っていたので嬉しかった。

 でも、見終わった後強く感じるのは原作の比類ない面白さ。映画化され
るとスチール写真や予告がネタばらししてしまう部分もあるので、自分が
まっさらな状態で途中からはリアルタイムに新刊を待ちながら原作を読め
たことを本当に幸せに感じました。

 映画自体を楽しむというより原作ファンが原作をより一層楽しむための
補助をしてくれる映画。私は満足。さ、原作再読しよっと。


↓やはり、まずはここから!