螺鈿迷宮 海堂尊

 想像していたのとエラい違った!現実的な社会派医療モノだと思ってい
たけれど、かなり創作の度合いが高く、物語物語していました。

 行方不明者の捜索と潜入取材のため、主人公天馬は黒い噂の絶えない桜
宮病院へ。終末期医療問題、患者死に過ぎ!問題、怪しい姉妹、患者の三
婆に大ボケナースと道具立ては盛り沢山でまるでアドベンチャーゲーム
様な物語展開。面白かったし、医療ネタも興味深い。

 面白かった割にテンション低めなのは、読みづらさに参ったから。これ
は決して私がシリーズ初作から読んでいないから、というだけではなさそ
う。理系作家故の描写不足か。ト書きの少ないシナリオみたいで情景、状
況がイメージしづらく、描かれていない部分を勝手な想像で補いながらで
ないと進めない。せっかくの大オチもそのせいでカタルシスに欠けるのが
勿体ない。

 面白いネタなだけにとっても惜しいよ。螺鈿というモチーフの使い方も
好みだったのに。ん〜、でも気になるから他の作品もきっと読んじゃう。
予約が恐ろしい件数になってるので当分先だけど...。

 星3個。