症例A 多島斗志之【しら菊の猫でもわかるミステリ用語解説付き】

 ほにょにょにょにょ。ちょっと「はあ...。」という感じ。

 面白いは面白いんです。厚いのに厚さを感じないぐいぐい読ませる引き
はあるのですが。この症例ネタは別に目新しくないというか、多島作品を
読む程度に本好きな人ならばおそらくアレは既読であろうし、今さら5~6
人が登場しても、24人以上出て来たって驚かないし、二番煎じ感が...。

 もともとメンタルヘルス系は超能力ネタと並んで好みじゃないジャンル
なので症例の部分よりも博物館の真贋論争の方が断然好みで面白かった。
このネタで戦時中と現代を行き来しながら博物館ミステリとしてズッシリ
ごついのを書いて欲しかったなあ。ちょっと博物館サイドのストーリーが
物足りないです。

 ラストがこれまたいまいちスッキリせんのう~。このむずかしい症例で
スッキリ解決する方が不自然だと言う事なのか。アマゾンのカスタマーレ
ビューでも異常に評価が高いが、皆さん納得されたのだろうか。他の作家
さんならこのレベルでも傑作かも、だけど多島さんはレベルが高いので私
が読んだ多島作品の中ではこれ、順位は低いです。

 星3.3個。

 しら菊の「昔は翻訳ものだって読んでたんだぜ」用語解説
・24人 
 言わずと知れたダニエル・キイスのベストセラー、「24人のビリーミリ
ガン」のこと。キイスはデビュー作(?)「アルジャーノンに花束を」が
あまりにも傑作すぎて、それを超える小説が書けず、ノンフィクションば
かり書く様になってしまった...、のかな?