連載小説 ドブなロク道<いけずの料理研究会>流水館へ 第四話

※諸事情により小説仕立てでお送りします。小説はウザイ、要点だけ追い
たい、という方々のため要点を太字で記載しますのでご活用下さい。※

■■■第四話■■■
 三日半。今までは白い液体に米粒が浮いた二層だったのが、下から白い
液体、黄色みがかった液体、米粒、の三層になった。「三層」という言葉
はあちこちのドブ□ク掲示板で見かけたので正しく次の段階に進んだと判
断。撹拌と味見。端麗辛口で舌にピリっと微発泡。充分酔える度数。

 甘くなってからアルコール度数が上がって行くと思っていた僕と鳴川先
輩はいまいち甘味を経ずにどんどんアルコールが上がって行くのが納得い
かない。変な苦味や酸味も全くなく、美味しい辛口のお酒になっているの
でいいではないか、というのが酒好き白菊先輩の主張である。

 丸四日。

 撹拌の後グラスにお玉なみなみ一杯分のドブ□クを取る。いつしぼって
良いのかわからないので毎日一杯ずつ飲んで「昨日の方が美味しかった」
という瞬間を見極めることで次回以降の熟成期間を決定することにしたの
だ。

「初回はお試しだからね。本番は二回目だよ〜」
という白菊先輩の言葉に驚いた。えっ、これ、またやるんですか。また僕
は買い出しと荷物持ちと記録と...。

 肝心の味はかなり辛口で微発泡。アルコールが強くてツンとくる。日本
酒を通り越して焼酎になったかという勢い。硬派な日本酒、といったとこ
ろか。白菊先輩の顔も赤い。酸味や苦味など不味い要素は一つも育ってな
い代わりに旨味要素も少ないかもしれない。アルコールだけがぐんぐん増
えたのは何故だろうか?

************

 四日半。五日目の朝。
 恒例の朝のドブ□クチェック。朝なのでスプーンに一杯味見。
 「あ、旨味が...。」
 昨日までのきついアルコール臭が少しやわらいで米の旨味が出て来た様
だ。味がまるくなった。昨日絞らなくてよかった〜、と一同胸をなで下ろ
'''した。



 丸五日。味見をしたが朝と大差なかったため、とうとう我が研究会初の
ドブ□クを絞ることに決定。ボールにザルを置き、米と液体をそそぐ。お
玉のお尻でゴリゴリ押して絞る。こんなに力をかけると米が砕けて酒に混
ざるかと思ったが、案外しっかりとザルの中に残るものだ。

 イメージ 1

 ようやく全てを絞り終え、白濁した酒と酒粕が出来た。酒粕は白菊先輩

「甘酒、甘酒、粕汁、粕漬け〜♪」
と歌いながら台所へ持って行ってしまった。

「さあ、あとはこれを冷蔵庫でキンキンに冷やせば出来上がりだ。天国の
前動、見てるか!旨い酒が出来たぞ!」
鳴川先輩の目尻には涙が光っている。僕もついもらい泣き。
「あ、じゃあ僕が台所にボトル持って行きます。グスッ。」
「いいよいいよ、今までさんざん三本松には雑用させてきたからな。これ
は俺が持っていくわ」
そういうと鳴川先輩は台所へと消えた。


 遅い。遅すぎる。おおかた二人でつまみ食いでもしてるのだろうと待って
いたがいくらなんでも時間がかかりすぎではないか。その時ふと僕はあるこ
とに気付いた。この館にはもともと4人しかいなかった。前動先輩が何者か
に殺されて、僕でなければ犯人はあの人しかいないじゃないか。台所で犯人
と二人きりになっている白菊先輩が危ない!!!
「白菊先輩!気をつけて!!!」
僕は部屋を飛び出した。

この物語はフィクションです。画像はCGです。登場する白菊と実在の

しら菊は別人です。

 ※日本では無免許でアルコール度数1%を越えるお酒を作ることは自家
用であっても違法です。
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