水の時計 初野晴

 大満足です!これも面白かった!

 ある脳死状態の少女の周囲でおこる臓器移植にまつわるいくつかの物語。
長編小説なのですが、それぞれの章が中編小説としても充分単独で読める
レベルの高さです。

 医療という至極重くかつ社会派的なテーマを扱いながらもどこかファン
タジックで寓話的な味付けになっているところが初野さんらしいところ。
粗もあるし、もっと丁寧に書いて欲しかったところや、逆に端折っても良
かった様なところなど細かい不満もあるけれど、そんなのは大した事では
ありません。手慣れて上手に纏めた作品よりも多少荒削りでも着想が瑞々
しい内に書き切った作品というのは些細な欠点をカバーし得る魅力がある
のです。

 初野さん面白い!このままドンドン書いて欲しいです!

 星4個。